ノートPCに接続して外部ディスプレイとして利用できるARグラスは、デバイスが利用者の頭・首の回転や傾き、移動に対応しているかどうかで現実空間に投影されたバーチャルディスプレイの見え方が異なります。
AR・VRではバーチャル空間の中で体験者がどれだけ動けるかの自由度をDoF(Degree of Freedom)で表現しますが、トラッキング機能の有無と性能の違いをそれぞれ「0DoF」「3DoF」「6DoF」に分けて整理してみました。
0DoF (装着者の動きに非連動)
ARグラスが空間トラッキングに対応していない、またはその機能がオフの状態。
バーチャルディスプレイが空間ではなく装着者の頭の動きに固定され、常に正面に表示されます。
3DoF(装着者の頭・首の傾きに連動)
内蔵の加速度センサーなどを利用して、ARグラスが装着者の頭・首の回転や傾きがARグラスに反映され、映像が空間上に固定されているように見えます。
装着者の移動には対応していないため、別途専用ソフトウェア等で設定を変更しない限り、ARグラス利用者とバーチャルディスプレイの表示距離は一定となります。
6DoF(装着者の頭・首の傾きと移動に連動)
内蔵の加速度センサーや空間認識カメラなどを利用して、ARグラスが装着者の頭・首の回転や傾きと移動がARグラスに反映され、映像が空間上に固定されているように見えます。
装着者が移動することで、バーチャルディスプレイに近づいたり全体を俯瞰して見ることができます。
0DoF/3DoF/6DoF ARグラスの特長と適した用途
0DoFのARグラスのほとんどがPCに接続するとOSが外部ディスプレイとして認識するので、追加のソフトウェア無しにそのまま利用できます。
常に映像が視界の正面に表示されているので頭や目線の移動の頻度の少ない映像鑑賞やゲームでの利用に適しています。
映像が視界を遮るのでコーヒーカップを手に取ったり、キーボードを打つような目で見て確認する作業を行うには不向きと言えるでしょう。
3DoFのARグラスは頭・首を動かしてバーチャルディスプレイから目を逸らしたり、画面上の中心以外のポイントに目線を向けることができ、視点移動ができない0DoFのARグラスと比較すると3DoF対応のデバイスの方がWebサイトのブラウジングや文章作成・表作成に適しています。
画面上の細かい文字を注視したい場合は画面に近づくことができないので、コンテンツをズーム表示したり、ARグラス専用アプリケーション上の設定を変更してバーチャルディスプレイの表示サイズを拡大するか表示位置を近づける必要があります。
6DoFのARグラスは装着者の頭の向きと傾き、さらに移動にも対応しているので、画面が完全に空間上に固定され自由に視点を移動したり細かい文字も近寄って確認することができます。利用者は0DoFや3DoFのARグラスよりもよりリアルなディスプレイに近い感覚でご利用いただけます。
多くの3DoF・6DoF対応ARグラスでは移動する車内での利用を考慮して0DoFモードへの切り替えができます。
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